上陸のプロセス

ナチュラリゼーションの最初に顎のワークがあります。
それは座位でも行いますが、うつ伏せで肘や手のひらで身体の重さを支えながら、顎を開けたり閉じたりすることと、背骨の動き、胸郭の動き、そして呼吸という様々な働きに関わる動きを再学習していくわけです。

私達の祖先が水中から頭を出して、鰓呼吸から肺呼吸へと進化していく過程で、顎も形成されていきましたが、その一方では頭骨と肩帯の分離という骨の大改造もなされていたのです。それがやがて首になり、またその姿勢をとって動くようになる中でカーブした長い肋骨も、踵や5本の指も形成されていきました。

赤ちゃんがこの世に生を受けての最初の大仕事は肺呼吸ですが、顎のワークはまさに私たちの祖先が呼吸のために何百万年もかけて進化してきた、その上陸のプロセスでもあるように感じています。

ちょうど別冊日経サイエンス233号「魚のサイエンス」に、魚から四肢動物への上陸前後の変化についての記事が特集されていたので、生徒さんたちにそれもご紹介しながら私たちの動きの原点に思いを馳せたりしています。

私たちの祖先が何百万年もかけて頭骨と肩帯を分離し、顎を大きく力強く使えるように進化してきたものを、現代の私たちは文明化された生活の中でむしろ退化させるかのように固めて不自由にしてしまってきましたが、それでもその動きを辿り直すことで、子どもたちはもちろん60代、70代の生徒さんも、ダンスや運動をほとんどなさってこなかった生徒さんも少しずつ機能が取り戻されていく…

そのような姿と生まれたばかりの孫の姿も重なりながら生命って、本当にすごいものだと感動を新たにしているこの頃です。

上陸への準備:移動のための肢だけでなく、空気から酸素を取り入れるための肺が不可欠。さらに肺がつぶれないように胸腔を包み込む肋骨がいる。また、最初の両生類は現在のカエルなどのように、頬を膨らませたりすぼめたりして肺に空気を送っていたと思われる。このためには頑丈な下顎が必要(哺乳類では横隔膜がふいごの役割をしている)。

別冊日経サイエンス233『魚のサイエンス』 108頁
「魚から四肢動物へ 見えてきた上陸前後の変化」 J.A.クラック(ケンブリッジ大学)

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